修復素材:長方形の箱がチューナー機器が収まる筐体です、8角形部分がスピーカーが収まる筐体となります。
このラジオは元々は漆塗りではなかったのですが、元の塗面が傷んでいた都修復合で漆塗りでリメイクして行きます。


砥の粉や地の粉(土)と漆を混ぜて行う下地を行ったところです。
前工程の写真を撮っていませんでしたが、前工程では麻布を漆と白玉粉を混ぜたのり漆で全体を貼って補強しています。
このラジオは下地から日本産を使って作業しております。残念ながら下地は岩手県浄法寺の漆を使ってます。丹波漆は私には年間100グラムか200グラムしか手に入らないので。新しい工房で刷毛塗りが始まったら丹波漆の登場です。(と言う事で写真の漆は浄法寺です。それでも1キロ5万から7万ぐらいします)今回一部布目擦り地と切り粉地付けで15グラム使いました。
1月7日
前回下地処理を行った箇所の研ぎ作業を実施します。まだ荒い下地なので荒砥(細目)で研ぎます。
1月8日
ラジオの作業です。全体を布で補強しているのですが、原型を崩したくない部分は「蒔き地」と言って生漆を塗って地の粉を蒔き付ける下地を行います。
他のパーツは、ヘラを使って下地の漆を付ける作業を行いました。まだまだ下地の工程は続きます。
1月10日
昨日は他の仕事に手を取られラジオは蒔き地をした部分を切粉地を刷り込んだだけでした。
研ぎの途中です。気温が低いせいか漆の締まりが少し悪いので、ムロに入れます。漆は空気に触れて固まっていくので、研いで新しく出た表面を固くするためにムロに入れ直した方がいい時もあります。焦るとろくな事ないのです。生乾きの上に慌てて漆を塗ると次は乾きません。
1月12日
昨日全体に付けた切り粉下地を研いで、生漆を吸わせて研ぎ切れない部分だけに下地を付けます。「繕い」と言います。
1月14日
今日は一番手間がかかるのがラジオのスピーカー部分色んな面があるので、砥石もそれに合った形を作ります。下地を付けるヘラ(ヒノキですも形に合わせて削ります。
この2日はひたすら研いでました。昨日の夜、アール部分だけ再度キリコ地付けです。形(角など)を崩さない様に隣あった面は乾いてから付けます。
1月21日
やっと平たいパーツだけ、次の下地サビ付け(砥の粉と漆を混ぜた物。)になりました。写真ではよくわからないと思いますが、切粉地より細かな下地で肌もだんだん整って行きます。八角のスピーカー部分は面が多いので、まだ切粉地付けです。
1月24日
一部のパーツで細かい下地になりましたので、漆を新たに漉しました。漆を漉すための専用の和紙があります。スピーカー部分は2回目の切粉下地です。
1月28日
やっとひと通り切粉地付け終わりました。次回から細かな下地砥の粉と漆を混ぜた錆をつけていきます。これからはアール部分をきちんと付けていきたいので、アクリル板で引き型を作りました。
2月4日
一部のパーツで試し塗りで下塗り(丹波漆プラス浄法寺漆ブレンド)しました。他のはまだまだ下地(サビ付け)です。塗った物も研いで平面の精度を上げて行きます。研いで塗ってを繰り返します。
やっとラジオの本体黒の下塗りです。毎日少しずつアールと平面の接続部分など細かな所を研いで錆び(下地)を繰り返しました。まだ下塗りなので、黒を塗って見落としていた小さな凹みや面の歪みを直していきます。スピーカー部分は面が多いので、まだ錆び付けが続きます。