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鉄に漆は塗れるか?(バイク:メグロジュニア250)

バイクの修復に漆を

【修復材料】

今回修復するバイクはメグロジュニアS3(250cc)です。

相当腐食が進んでいます。

一番目立つ燃料タンクの黒塗装部分を黒漆で修復したいと考えてます。修復過程を少しずつ紹介していきます。興味がありましたらたまに覗いて見てください。

バイクの現状写真を投稿するつもりでしたが撮るのを忘れてました、投稿する全体写真がありませんすみません。

詳細は

http://bike-lineage.jpn.org/kawasaki/estrella/meguro250.htmlを参照して下さい。右記写真はS3シリーズ原型(上記HPより)


【タンク現状】

タンク素地はメッキ仕上げ面に黒塗装がされていました。

メッキ部は錆が浮いている状態です、面は相当凸凹の状態です。

前処理は、黒塗装は剥しメッキ部を出します、漆が接着しやすいようにメッキ面を#120で荒らしました。


【下地塗り】

下地として黒中塗り漆を刷毛塗りしました。

塗り終えた写真が右です。

乾燥に一週間かかります。

次回の作業は凸凹を埋め、面を整えて行きます。

次回をお楽しみに。


【錆付け】

乾燥後の漆の輝きは艶消し状態です、下地ですので乾燥時はこのような状態です。

写真はすでに錆付けを行った状態です。

1回の錆付けで凹みが埋まらない場合は再度行います。

 

錆とは、砥粉(とのこ)と生漆(きうるし)を混ぜた錆漆(さびうるし)を用いて錆地付けを行います。


【タンク側面の塗装】

側面の塗装はところどころ剥がれている状況です。

凸凹も少ないことより、全面塗装を剥すのではなく漆が接着しやすいよう表面を荒しその上に漆を塗っていきます。

下地黒中塗り後の写真を撮るのを忘れてました。

右側の写真が下地塗り後の写真です。


タンク上部のサビ付けを行った箇所を研いでいき表面を滑らかにしていきます。

#600で水研ぎを行った後が👈写真となります。

滑らかになったところで2回目の塗り作業を行っていきます。

今回は艶がある光琳という漆を塗っていきます。

👉写真が塗り終えたところです。

 

表面の凹凸が少なくなるまで、水研ぎ→本塗りを繰り返していきます。

2回目塗りでずいぶん凹凸は少なくなってきています。

 

 

今回はラインの修復を行っていきます。

ライン部分に代用金粉を蒔いていきます。

まずライン部に養生テープを貼っていきす、次にて金粉を接着させるために下地漆を塗っていきます。

その下地漆の上に金粉を蒔いていきます。

写真のとおり綺麗な金ラインが引けました。


【七宝焼きエンブレム修復】

タンクの両側のエンブレムもついでに修復します。七宝焼きのエンブレム転倒の時に欠けたものか?金色に近い欠けた箇所を修復するにあたってより近い色で修復するための色だしサンプルを作っていきます。

👉写真が4サンプルで左から絵漆(透き漆にベンガラを混ぜたもの)の上に左から消金、消銀、代用金粉、錫を蒔いたものである。乾燥後上赤呂色漆を塗って一番近い色を決定します。

色サンプルに梨地漆を塗り色の変化を見る、蒔絵の仕上がり色となる。

梨地漆とは、蒔絵の地蒔(じまき)の一種。梨の肌に似ていることからの名称である。

この4サンプルのうち七宝焼の金色部分に一番近い色が左から3つ目代用金粉が一番近い色となるためこの蒔絵で修復することとする。

この作業は次回実施ですお楽しみに。

代用金粉を蒔き終えたところが右記の写真となります。まだ下地の漆が乾いていないため色が落ち着いていませんが近い色で仕上がると思います。

少し金色が目立つため、漆を金粉の上に塗ります。結果がこの写真となります。少し近づいてきましたか。


【メインキーの修復】

メインキースイッチはプラスチック部分が欠けていました。同じような材質で形状を修復しています。

このままでは継ぎはぎが見え見えなのでここにも漆を塗りたいところなのですが漆で溶けないか確認しておく必要があります。

一度拭き漆をかけて材質の変化を観察します。

結果は次回のお楽しみ。


【エアークリーナーカバー】

エアークリーナーカバーも塗って見ました。

下地はMRを使用、その上に光琳を塗ってみました。ほこりも少ないのでここまでで完成とする。


【漆の焼き付けにチャレンジ】

タンクのボディーも本当は焼き付けをすればいいのですが焼き付けする装置がないので実施しませんでしたが、ウインカーのボディーはオーブンレンジにはいるので焼き付け塗装を行ってみます。

 焼き付けをすることにより鉄と漆の接着が強固になります、その後漆を塗り重ね仕上げていきます。

 

・下地工程として、錆取りををおこない表面を#120で荒らします。写真は下地漆を塗る前の状態です。

・下地漆には、黒中漆を使います。

右の写真が漆を塗ったところです。

・これをオーブンで焼き付けしていきます。

・温度は160℃、時間は60分でいきます。

・焼き付け後所々にちぢみ発生、再度水研ぎし焼き付けを行う。


【タペット点検蓋文字修復】

メグロの朱文字を修復します。

赤口朱という色漆を塗布後焼き付けを行います。

焼き付け後が右の写真となります、少し赤漆も焼けて黒くなっていますがこの上に塗り重ねていきますので大丈夫です。

赤口朱とは、赤呂色漆(茶色い透けた漆、赤色ではありません)に赤口朱という顔料を混ぜたものです。

 

 

【風切りプレート修復】

風切りプレートの文字を書き直しします。

一旦プレート塗装はすべて削り取り鉄面に戻します。そこから修復スタートとなります。

下地はタンクと同じで黒中漆を刷毛塗りします。乾燥はレンジでチンと焼き付けを行います。

黒塗りの仕上がり写真は取り忘れちゃいました。

文字はベンガラ漆でハンドで書いていきます。(文字の型は転写します)

文字の漆が乾かないうちに今回は代用金粉を蒔いていきます。

皆さんはここが興味がおありかと思いますのでこの工程を重点に写真を載せます。

 

 

漆で文字もきれいに甦りました。完成


【マフラー修復】

・マフラーは錆錆修復不可か?

このままメッキ屋に依頼するのが妥当である。メッキ屋に出したい部品はほとんどでそこまでお金をかけて修復できない。

 

・修復チャレンジ

 漆でコーティングを試みる。

 マフラーの温度は出口付近で300℃ぐらい

 この消音機付近で100℃ぐらい。

 漆はこの温度に耐えられるか?

 ダメもとで塗ってみる。

 色は黒ぐらいしか選べない、銀を蒔く手も

 あるが高額になってしまう。

 ダメもとなので黒艶ありでチャレンジして

 みることにする。

 1)下地を生漆で拭き漆写真右が塗ったところ。

 

 

 

2)黒漆(艶あり)を刷毛塗りしたところ。

乾燥後が楽しみです。

3)乾燥結果所どころにちじみが発生、また埃も多く2回目の塗直しとなりました。

残念です。2回目塗りの準備として全面的に#1000番で水研ぎを行います。

面積が大きくこれがまた大変なので嫌な作業です。

4)2回目塗り後

割と綺麗に仕上がっていたのでこれで塗り止めとします。(本当はもう一度ぬることにより表面がが滑らかとなりより美しい仕上がりとなります)

 

次回は本体に装着した写真をアップする予定ですお楽しみに。

メグロファンには、黒のマフラー?ダメ出しのブーイングがきそうです。


【右サイドBOX修復】

再度BOXも塗装の剝がれが目立つため漆により再生します。

このパーツが一番苦戦しましたが何とか漆が接着し綺麗に仕上がりました。


【ヘッドライト部修復】

ここまではパーツを外し漆体験施設で埃の少ない環境で塗りができムロで乾燥できました。

しかしもう外すことができない部分がほとんで、環境の悪いガレージで塗って見たいと思ってます。

温度と湿度が保てないので乾燥が難し状況となります。チャレンジ!

早速塗ってみました、使った漆は光琳です。

一見綺麗に見えますが埃と垂れが発生しています。

もう一度塗り直しかな…。

4月に入り平年気温より高めな日が続いています。これは塗り直しチャンス到来、垂れ、下地一般塗料との相性が悪く溶けて知人でしまった。

もう一度すべてハギ取り塗り直しを行う意外と埃も少なく上手く塗れたかな。


【フェンダー前部修復】

梅雨に入り、漆を塗るチャンスにもかかわらず作業ができない状況が続いています。

(言い訳は半農が忙しい・・・。)

今日は少し作業を進めるためフロントフェンダーを外しました。この湿気と温度が絶好のチャンスなので大物を塗りたいためです。取りあえず塗装剥離作業に着手しました。

今後の予定

①既塗装剥離

②生漆による拭漆

③板金後、錆腐食凸凹箇所をサビで補修

④黒漆刷毛塗り

 ここで失敗、板金箇所の凸凹が埋まりきれず凹み箇所へ漆がたまり乾燥時チジミが発生した。もう一度この工程のやり直しとなります。

次回塗りまでに表面の研ぎと凸凹の補修をやっていきます。

 

全面研ぎ直しを水研ぎで行った状態です。

 

もう一度全面塗り直しを行っていきます。

今回は、薄目に塗っていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2回目塗り後

薄目に塗った効果もあり綺麗な仕上がりとなりました。

もう一度塗る覚悟でしたがこれで完成とします。

 

装着後の写真もアップしておきます。

 

後は後部フェンダーが残るのですが、取り外しが難しいので現状ままとするか検討中です。


【ホーン部塗装】

ホーンは、塗らなくていいかなと思ってましたが、他が綺麗になっていくにつれ目立って汚く見えてきました。

塗るのだったら分解が必要で本日バラしてみました。

ホーン内部は錆だらけでとりあえず錆取りを行い下地調整から行っていくことにします。

綺麗に塗装を剥離し、拭き漆を行う。

今回は焼き付けを行ないます。

前にも行いましたが、温度160度60分でチンします。

写真は、焼き付け前後です。こんがり焼きあがりました。

これで下地処理が終わりましたので表面の凸凹をサビ漆で埋めていきます。

 

乾燥後塗り工程に入ります、艶あり黒漆(光琳)を刷毛塗りします。写真が塗り後となりますが大変美しく塗れていますが仕上げ塗りではありません次回研いで仕上げ塗りを行っていきます。