砥の粉や地の粉(土)と漆を混ぜて行う下地を行ったところです。
【2021.2.28】
木材の切り出し
今回お急ぎとのことで、ある材料でお椀の木地づくりをおこないます。
材料はタモ材・・・道管は少し荒く木目も出にくい材料ですが全面塗り仕上げとなりますので気にしないで進めていきます。
お椀の最終イメージをかんがえながら外側を削っていきます。
丸くなってきました
下の写真が外側を削り終えたところです。
外面が完成すれば今度は内面の削り出しです。
写真で簡単に進んでいるように見えますがなかなか固い木であり時間はかかっています。
【2021.3.8】
ここまで日付が飛びますが、この間もう一つのお椀の木地も製作を行っています。
これがお椀の木地が出来上がったものです。
少し黒いのは、漆を1回塗ったところです。
これを木地固めと言います。
木地を漆で固めて反り、割れを防いでくれます。
この状態で1週間乾かします。
次の工程は目止め作業になります。
樹木には道管という水分の通り道があり、表面にはその穴が開いていますこの穴を埋める作業が目止めで、錆漆というものを塗っていきます。
錆漆は、砥粉と漆を混ぜて作ります。
写真は錆漆を水研ぎ(#240)で表面を滑らかにしたものです。
研いで
錆漆を取ってしまったらダメなのではと思われるかも知れませんが道管の穴に埋まったものは取れません。一度で埋まればよいのですが乾燥して痩せるので2~3回行う場合もあります。
研ぎ終わったらもう一度木地固めを行います。
木地固めが終わったところです。
もう一つ底の部分に滑り止め用布を張ります。
これでまた1週間漆が乾くまで待ちです。
漆塗りって塗るのはあっという間ですが乾くのに時間がかかるので仕上がりまでずい分と時間を頂きます。
次回3/15に塗る予定です。
お楽しみに。
底部分の木地貼り後錆付により整えて行きます。
【2021.3.15】
次に全面下塗り作業を行いたいところですが、内面か外面しか作業ができませんそれは単純に持てないからです。
下塗り作業は、赤呂にて塗りますこれは木地の表面を滑らかにし仕上げ塗りを美しく仕上げるためのものです。
次回は外面の下塗り作業と底部を仕上げていきます。
外面も塗りを行ったのですが、残念なことに乾燥失敗の事態となり、一旦剥離作業を行います。
1週間ロスをしましたがここはしょうがないです。
【漆の乾燥】
漆の乾燥条件
温度20℃から25℃+湿度60%程度
の条件が必須となります。
初期乾燥時に冷え込んだ日があり、一旦初期乾燥に失敗すると中々乾かない特性を持っています。
今回は、乾くのを待つのではなく工程を進めるため剥離を行い再度塗直しで進めていきます。
【2021.4.5】
本日もう一度木地固めを完了します。
次回再度下塗りから再開します。
【2021.4.13】
赤呂漆による下塗り作業の再開です。
写真は塗り終わったところです。
乾燥は回転室に入れて乾燥します。
うまく乾けば次回色漆塗りに入っていきます。
塗り作業は埃が大敵で本来は塗り部屋にて塗りますがありませんのでどうしても埃がついてしまいます。
次回をお楽しみに。
【2021.4.20】
前回赤呂漆による下塗りが乾燥できました。
色漆を塗るための準備として#1000で水研ぎしていきます。
表面が整えば色漆を塗っていきます本日は外面のみの塗りとなります。
写真は要望のあったパープルと黒で塗り終えたところです。
パープルは乾燥するればもう少し落ち着いた色になります。
次回は内面の白漆塗りです。
【2021.4.29】
乾燥し少し紫は落ち着いた色になりました。
黒は綺麗に仕上がってます。
内面を塗る準備として#800で水研ぎします。
紫面も刷毛むらがあるの#800で水研ぎします。
その後木漆で拭き漆します。
次回乾燥後内面の白漆を塗っていきます。
【2021.5.15】新型コロナウイルス蔓延によりいつも塗りをさせて頂いている「漆の館」さんも緊急事態宣言により休館となり4月下旬から進んでいませんでした。同時に私も半農の仕事で田植えが完了するまで漆の作業が出来ませんでした。
注文頂いた方には申し訳ないです。
そろそろ塗りのいい季節に入ってきましたので再開します。
漆の館は5月30日まで臨時休館ですのでお家で作業をします。
塗り作業に大敵である埃とか、乾燥用室とかの設備がないため温度20℃以上、湿度70%の条件を満たす天候を狙って塗り作業を行っていきます。
写真は外面の状態です、漆黒は艶もあり綺麗に仕上がっていますがパープルの方は刷毛後が残ってしまいました、色漆はどうしてもこの様になりがちでこれを避けるには拭き漆で仕上げていくのが良いかと思いますが時間がかかりすぎるので刷毛塗りを選択しました。
刷毛塗り後、拭き漆という事も行えますが研ぎ作業で研ぎ破ってしまうことも考えられます。ここは申し訳ないですが刷毛目も味のある仕上げと思って頂けるとありがたいです。
内面の白漆は2回程度塗って仕上げていきます。
完成までもう少しです。
内面、外面とも底の部分の漆は剥げ落ちています。
気になるのは、カビかなと思われるくすみがあります。
このままぬるとこのくすみが出てしまうと思われる。底面は研ぎ剥しすることとします。
#400で空研ぎしていきます。
カビはずいぶん見えなくなっています。
摺り漆できるように木地を整えて行きます。
写真は研ぎを終えた状態となります。
2020/8/11
写真一番左側は参考に新品の製品で拭き漆10回目程度になります。
側面の色の濃さと合わすために水拭き後木地固めします。
写真は水拭き後となります。なぜか木地にシミが出てしまいました。
このまま木地固めを実施し目立たなくなればこのまま拭き漆を進めていきます。
2020/8/31
シミは多少目立たなくなりました。
このまま塗り重ねしていきます。
内側は刷毛塗りしてません、拭き漆にて進めていきます。
9/1、9/2、9/6、9/8、9/11、9/12
摺り重ね最終写真9/13日
摺り重ね
9/14、9/15、9/16、9/17
計16回
シミは残ったままとなりましたが、9/17以降気温、湿度も下がってきて乾燥に時間がかかることより修理完了とします。
本来なら漆問屋さんが精製した黒漆を買うのですが、丹波漆は少ししか手に入らないないので、自分で黒い漆を作って精製します。
漆の原液は乳白色で、空気に触れると茶色い色になります。これに鉄分を加えると鉄に反応して黒くなります。
今回は和釘と鉄製のフライパンを使って黒漆を作ってみます。出来るだけ空気に触れないようにサランラップで蓋をして1週間置いてから精製します。一番後の写真が3日経った所です。少し黒くなりました。
鉄製のフライパンに入れて8日経った生漆(きうるし)です。乳白色だった漆が鉄に反応してネズミ色になりました。これをガラス板で広げて混ぜながら、ゼットライトで熱を加えながら、1時間半混ぜ広げてを繰り返し水分を飛ばして30パーセントの水分を3パーセントくらいにすると刷毛塗りの漆になります。
修復素材:長方形の箱がチューナー機器が収まる筐体です、8角形部分がスピーカーが収まる筐体となります。
このラジオは元々は漆塗りではなかったのですが、元の塗面が傷んでいた都修復合で漆塗りでリメイクして行きます。
砥の粉や地の粉(土)と漆を混ぜて行う下地を行ったところです。
前工程の写真を撮っていませんでしたが、前工程では麻布を漆と白玉粉を混ぜたのり漆で全体を貼って補強しています。
このラジオは下地から日本産を使って作業しております。残念ながら下地は岩手県浄法寺の漆を使ってます。丹波漆は私には年間100グラムか200グラムしか手に入らないので。新しい工房で刷毛塗りが始まったら丹波漆の登場です。(と言う事で写真の漆は浄法寺です。それでも1キロ5万から7万ぐらいします)今回一部布目擦り地と切り粉地付けで15グラム使いました。
1月7日
前回下地処理を行った箇所の研ぎ作業を実施します。まだ荒い下地なので荒砥(細目)で研ぎます。
1月8日
ラジオの作業です。全体を布で補強しているのですが、原型を崩したくない部分は「蒔き地」と言って生漆を塗って地の粉を蒔き付ける下地を行います。
他のパーツは、ヘラを使って下地の漆を付ける作業を行いました。まだまだ下地の工程は続きます。
1月10日
昨日は他の仕事に手を取られラジオは蒔き地をした部分を切粉地を刷り込んだだけでした。
研ぎの途中です。気温が低いせいか漆の締まりが少し悪いので、ムロに入れます。漆は空気に触れて固まっていくので、研いで新しく出た表面を固くするためにムロに入れ直した方がいい時もあります。焦るとろくな事ないのです。生乾きの上に慌てて漆を塗ると次は乾きません。
1月12日
昨日全体に付けた切り粉下地を研いで、生漆を吸わせて研ぎ切れない部分だけに下地を付けます。「繕い」と言います。
1月14日
今日は一番手間がかかるのがラジオのスピーカー部分色んな面があるので、砥石もそれに合った形を作ります。下地を付けるヘラ(ヒノキですも形に合わせて削ります。
この2日はひたすら研いでました。昨日の夜、アール部分だけ再度キリコ地付けです。形(角など)を崩さない様に隣あった面は乾いてから付けます。
1月21日
やっと平たいパーツだけ、次の下地サビ付け(砥の粉と漆を混ぜた物。)になりました。写真ではよくわからないと思いますが、切粉地より細かな下地で肌もだんだん整って行きます。八角のスピーカー部分は面が多いので、まだ切粉地付けです。
1月24日
一部のパーツで細かい下地になりましたので、漆を新たに漉しました。漆を漉すための専用の和紙があります。スピーカー部分は2回目の切粉下地です。
1月28日
やっとひと通り切粉地付け終わりました。次回から細かな下地砥の粉と漆を混ぜた錆をつけていきます。これからはアール部分をきちんと付けていきたいので、アクリル板で引き型を作りました。
2月4日
一部のパーツで試し塗りで下塗り(丹波漆プラス浄法寺漆ブレンド)しました。他のはまだまだ下地(サビ付け)です。塗った物も研いで平面の精度を上げて行きます。研いで塗ってを繰り返します。
やっとラジオの本体黒の下塗りです。毎日少しずつアールと平面の接続部分など細かな所を研いで錆び(下地)を繰り返しました。まだ下塗りなので、黒を塗って見落としていた小さな凹みや面の歪みを直していきます。スピーカー部分は面が多いので、まだ錆び付けが続きます。
昨日12月20日に京都府文化財所有者連絡協議会研修会がありました。京都府の文化財指定を受けている建造物の所有者やお祭り、漆掻きなどの民俗技術などの団体が入ってる会です。今回の研修会は漆がテーマでした。NPO法人丹波漆の岡本理事長やその弟子の山内耕祐さんがお話ししました。皆さん熱心に漆掻きの技術について聞いておられました。(京都文化博物館にて)
抗菌効果の検証実験を行ってみようかなと思ってます。
検証ルール
・同じ条件とする。(同一場所に保管)
・お弁当箱のふたは閉める。
・お弁当箱は、漆塗り曲げわっぱとプラスチック製お弁当箱を使用します。
・中身は、食パン1/4とします。(同じパンを四等分したもの)
・スタートから食パンにカビがでた時点でENDとします。
判定
・同じ時間でカビが発生した場合は漆抗菌効果はないものとします。
・プラスチック製お弁当箱より漆塗り曲げわっぱの方が早くカビが発生した場合も抗菌効果は無いものとします。
・漆塗り曲げわっぱお弁当箱よりプラスチック製お弁当箱の方が早くカビが発生した場合は漆の抗菌効果があったものと判定します。
さてどうなるかおたのしみに❣
本日 2018年5月28日からスタートします。
第1日目 2018年5月30日
2日目 2018年5月31日
変化はありません。
第5日目 2018年6月3日
変化は在りません。
第7日目 2018年6月5日
ついに白カビ現る。
写真少し見にくいですがミミの部分に白カビが発生しています。
漆塗り曲げわっぱにはまだカビの発生は見られません。
第8日目 2018年6月6日
プラスチック製弁当箱は着実にカビ菌を増やし白カビは膨らんできました。
漆塗り曲げわっぱは全くカビは発生していません。
やはり噂どおり抗菌作用はあった。
第9日目 2018年6月7日
変化はありません。
第10日目 2018年6月8日
変化はありません。
第一弾として、リビングの畳張りを杉板に張り替えました。
杉板のままでは、何かをこぼした時浸み込んでしまいシミとなります。
通常塗料、ワックスなどにより防水を施します。
今回は、贅沢に漆を塗って見たいと思います。
生漆をテレピン油で希釈し刷毛塗りをしていきます。写真の茶色の部分が木地固めを行ったところです。
木地固めの漆が乾き、1000番のペーパーで固めたあと1回目の拭き漆を行います。木地固めと1回目の拭き漆と全く艶が違うのがお判りでしょうか?
引き続きの作業です
木地固め全面塗り終わったところです。
さすがに面積が広いので大変です。
ここまでの漆の使用量は460グラムでした。
私の設計したネッシーは、前後の長さ比が11:18、割り切れない比率になってます。箱の全ての部分の寸法比を、このように単純な整数比にならないように詰めて行けば良いんです。
何度か試作しているうちに、楽器のようにあらゆる周波数に満遍なく共振し、しかも鋭い共振の出ない箱が作れます。そういう箱が出来ると、吸音材を使うメリットはなくなります。
長岡氏設計のネッシー、前後の長さ比が1:2、長岡設計にはこんなのが多いです。これじゃかなり強烈なクセがでますね。吸音材も要るでしょうし、使いこなしも大変でしょう。
私の作る箱は、おおむね2007年頃からは吸音材不要になっています。検証済み。それ以前の箱については手元に無いので検証できていません。
「吸音材が要るうちは、その箱は試作品。」今の私はそういうスタンスです。
バックロードホーンはホーン形状が命。理想的形状が完成すれば、ホーンの材質は何であっても音には関係なくなります。これは理想論。
現実には、最終的にはあれこれ楽器用材を主に試してみるわけですが、試作初期の段階では高価な材料を使うことは無駄。安い材料を使って試作を幾つも作り、とにかくホーン形状を詰めることに全力を注ぎます。
バックロードホーンの形状要素としては一般には、第一キャビ容量、スロート絞り量、ホーン広がり係数、ホーン長さの4つですが、それに加えて第一キャビ形状、折り曲げ回数と、折り曲げ箇所という要素も重要であり、またそれぞれの要素が絡み合い、なかなか簡単に最終結論が出るシロモノではありません。
ひとつ傾向として言えるのは、試作を繰り返してホーン形状の完成度が高くなればなるほど、軽い材料が使える。ということ。
音響変換効率100パーセントのホーン、なんて現実に出来るわけありませんから、結局少なからずホーン鳴りは残ります。そのホーン鳴りを敵にするか、あるいは味方に付けるか、ここからが箱の材質が音に関わってくる段階です。
すべての材料は、固有の音色というものを持っております。木材、金属、接着剤、塗料まで、振動すれば必ず固有の音を出します。数多ある材料の中で、どの材を使うか?最後まで頭を悩ませる問題です。
ひとつの方法としては、聴いてみて「イヤミな音を出さない」材料を選ぶ、という消極的方法。
もうひとつは、過去数百年に渡って使用され、淘汰され、生き残った材料(つまり楽器用材)を使う、という方法。これは「良い音を出す」という積極的理由で使われてきた材ですから、ホーン鳴りを味方に付けるには最適の材料である可能性が高い。
一般にスピーカーエンクロージャーには重厚な材料(比重0.7以上)が好まれますが、今回のバックロードホーンではマツ科(比重0.5)を通り越して、すでに杉(比重0.45)がベストマッチング。
ホーン形状を詰めれば、低音は材の重さで出すのではなく、ホーン形状で出すものという認識が出来てきます。
楽器製作仲間に、「キョービ、スプルースじゃないよ。シダー(杉)だよ。」と教えて貰った時は、半信半疑でした。
故長岡師も、エンクロージャーの重量は、スピーカーユニットの振動系重量の一万倍、というルールを作っていたくらいです。杉でエンクロージャーを作れば軽すぎてとても一万倍にはならない。
しかし物は試し、一度は試作してみる価値はあると判断し、杉で作ってみた結果、それが大当たり。
杉材エンクロージャーの中高音の繊細さ、歪み感の少なさは予想したとおりでしたが、それよりも、重厚な材で作ったエンクロージャーよりも低音がくっきり出るのには驚きました。
よくオーディオの名言に、高音を改善するにはウーファーを、低音を改良するにはツイーターを替えてみろ、と言うのがありますが、まさにそのとおり。杉材を使うことによって、予想しない音域にメリットが出たのです。
それにしても、この杉固有の音、響きは、なんと魅力的なのでしょうか。かつてこのような音は聴いたことがありません。ディットン66も、オートグラフすらも、蹴散らすだけの魔力を持っています。自己満足の極地とでも言えましょうか、私にこれ以上のエンクロージャーの改良を拒ませるだけの力が、杉にはあります。
JBLプロフェッショナルの12cmシーリングスピーカーを入手。汎用互換サイズのフルレンジスピーカーユニットだ。トランスを外せばインピーダンス8オームなので普通に使える。
なぜかJBLのこの機種は日本では売られていない。アメリカでもイギリスでも中国でも韓国でも売ってるのに、なぜか日本だけは売られていない。なんでやろ?買う人が居ないからか?結局イギリスのebayから輸入。2週間ほど掛かった。
さっそく我が家のNessie-Sのアルテック12cmユニットと交換した。驚いたことに低音が一クラス上の16cmNessie-Jと同等になってしまった。そして昔懐かしいJBLのあの音、元気で気品あるあの音が出るのだ。
JBLの音がオーマンディーと相性が良いのは想像できるだろうが、今まで鬼門だったフルニエのバッハが初めてまともに聴けるスピーカーに出会った。ただいまいろんな音楽をかけて楽しみながらエージング中。とにかく聴いて元気になる音だ(*^o^*)
忠実再生という言葉をよく耳にしますが、それはいったい何に対して忠実なのか?という問題。そりゃもちろん生音、生演奏に対してのことなのでしょう。その生音を100点として、再生音をいかにその生音に近づけるか、という話しだと思います。
問題は、その元になる生音を私たち誰も聴いていないということ。誰も聴いた事もない音、目盛の無い物差しでしかないものに対していくら忠実を叫んでみた所で、それは空論でしかない。
さらに、もしラッキーにもその生演奏の録音現場に居合わせた人が、機材や取り扱いにいろんな努力をして、元の生音と全く同じ音が出せれば100点となります。でも技術的にそれはありえない。最高でも99点、ちょっと手を抜けば90点、60点、と下がります。
元の生音を100点としてそれに対して忠実再生を追求している限り、その再生音は生音の劣化コピーでしかありません。110点、120点は絶対にあり得ません。それではオーディオは生演奏を絶対に越えられません。
忠実再生を金科玉条にするのも1つの趣味としてはありえるでしょうが、私自身の一生の趣味として、劣化コピーを作ることに心血を注ぐのはちょっと寂しい気がします。
英語で「漆器」全般を「Japan」と表記されるように、日本の漆は世界に認められている。
また国内では縄文時代前期の漆製品が発見されており、漆器は我が国を代表する伝統工芸品だ。
一方で、現在国内で使用される漆の内、国内産はわずか3%足らずとなっておりその中でも夜久野で採れる丹波漆はとても品質が良いとされている。丹波漆を使用した食器や工芸品は非常に上質で、とても鮮やかな色合いになる。丹波漆の継承のために、発信していくことが私の使命と考えています。
「やくの木と漆の館」館長を平成29年度から仰せつかり今後は、もっと多くの方々に来館してもらうために、外国人観光客にも漆塗り体験をしてもらうためのプランなども検討しています。
昨年11月にはパリ在住の夫婦とお子様が来館され漆塗り体験をされました。
漆液はウルシノキという木から採れること、植栽から漆液が採れるまで10年もかかり1本の木から採れる漆液はほんの少しであることから、漆にまつわる伝統技術を継承し漆芸品を多くの人々に知って頂き使ってもらえればと日々頑張っています。
漆塗り製品は使っているうちに漆がすり減って木地が出てきたりします。
そのまま使い続けると木地に水分が入って割れたりします。
そのような時は漆の塗直しを行い修復を行います。
漆塗り製品は使い捨てではなく修復しながら長く使っていけるのも良い点です。
今回は喫茶店で使っていたスプーンの塗直し作業を行いました。
塗り直し後は新品のように輝きが戻ってます。
今回使用するヒノキは間伐材です。
間伐材はいくらでもあるのですが…。
杉、檜の素材に漆を塗っていくとどうしても黒くなってしまいます。漆をよく吸ってしまうからです。
今回は試しに色漆でカラフルに仕上げてみたいと思います。
写真は色漆で木地固めを行ったところです。
次回から摺り重ねを行っていきます。
今回修復するバイクはメグロジュニアS3(250cc)です。
相当腐食が進んでいます。
一番目立つ燃料タンクの黒塗装部分を黒漆で修復したいと考えてます。修復過程を少しずつ紹介していきます。興味がありましたらたまに覗いて見てください。
バイクの現状写真を投稿するつもりでしたが撮るのを忘れてました、投稿する全体写真がありませんすみません。
詳細は
http://bike-lineage.jpn.org/kawasaki/estrella/meguro250.htmlを参照して下さい。右記写真はS3シリーズ原型(上記HPより)
タンク素地はメッキ仕上げ面に黒塗装がされていました。
メッキ部は錆が浮いている状態です、面は相当凸凹の状態です。
前処理は、黒塗装は剥しメッキ部を出します、漆が接着しやすいようにメッキ面を#120で荒らしました。
下地として黒中塗り漆を刷毛塗りしました。
塗り終えた写真が右です。
乾燥に一週間かかります。
次回の作業は凸凹を埋め、面を整えて行きます。
次回をお楽しみに。
乾燥後の漆の輝きは艶消し状態です、下地ですので乾燥時はこのような状態です。
写真はすでに錆付けを行った状態です。
1回の錆付けで凹みが埋まらない場合は再度行います。
錆とは、砥粉(とのこ)と生漆(きうるし)を混ぜた錆漆(さびうるし)を用いて錆地付けを行います。
側面の塗装はところどころ剥がれている状況です。
凸凹も少ないことより、全面塗装を剥すのではなく漆が接着しやすいよう表面を荒しその上に漆を塗っていきます。
下地黒中塗り後の写真を撮るのを忘れてました。
右側の写真が下地塗り後の写真です。
タンク上部のサビ付けを行った箇所を研いでいき表面を滑らかにしていきます。
#600で水研ぎを行った後が👈写真となります。
滑らかになったところで2回目の塗り作業を行っていきます。
今回は艶がある光琳という漆を塗っていきます。
👉写真が塗り終えたところです。
表面の凹凸が少なくなるまで、水研ぎ→本塗りを繰り返していきます。
2回目塗りでずいぶん凹凸は少なくなってきています。
今回はラインの修復を行っていきます。
ライン部分に代用金粉を蒔いていきます。
まずライン部に養生テープを貼っていきす、次にて金粉を接着させるために下地漆を塗っていきます。
その下地漆の上に金粉を蒔いていきます。
写真のとおり綺麗な金ラインが引けました。
タンクの両側のエンブレムもついでに修復します。七宝焼きのエンブレム転倒の時に欠けたものか?金色に近い欠けた箇所を修復するにあたってより近い色で修復するための色だしサンプルを作っていきます。
👉写真が4サンプルで左から絵漆(透き漆にベンガラを混ぜたもの)の上に左から消金、消銀、代用金粉、錫を蒔いたものである。乾燥後上赤呂色漆を塗って一番近い色を決定します。
色サンプルに梨地漆を塗り色の変化を見る、蒔絵の仕上がり色となる。
梨地漆とは、蒔絵の地蒔(じまき)の一種。梨の肌に似ていることからの名称である。
この4サンプルのうち七宝焼の金色部分に一番近い色が左から3つ目代用金粉が一番近い色となるためこの蒔絵で修復することとする。
この作業は次回実施ですお楽しみに。
代用金粉を蒔き終えたところが右記の写真となります。まだ下地の漆が乾いていないため色が落ち着いていませんが近い色で仕上がると思います。
少し金色が目立つため、漆を金粉の上に塗ります。結果がこの写真となります。少し近づいてきましたか。
メインキースイッチはプラスチック部分が欠けていました。同じような材質で形状を修復しています。
このままでは継ぎはぎが見え見えなのでここにも漆を塗りたいところなのですが漆で溶けないか確認しておく必要があります。
一度拭き漆をかけて材質の変化を観察します。
結果は次回のお楽しみ。
エアークリーナーカバーも塗って見ました。
下地はMRを使用、その上に光琳を塗ってみました。ほこりも少ないのでここまでで完成とする。
タンクのボディーも本当は焼き付けをすればいいのですが焼き付けする装置がないので実施しませんでしたが、ウインカーのボディーはオーブンレンジにはいるので焼き付け塗装を行ってみます。
焼き付けをすることにより鉄と漆の接着が強固になります、その後漆を塗り重ね仕上げていきます。
・下地工程として、錆取りををおこない表面を#120で荒らします。写真は下地漆を塗る前の状態です。
・下地漆には、黒中漆を使います。
右の写真が漆を塗ったところです。
・これをオーブンで焼き付けしていきます。
・温度は160℃、時間は60分でいきます。
・焼き付け後所々にちぢみ発生、再度水研ぎし焼き付けを行う。
メグロの朱文字を修復します。
赤口朱という色漆を塗布後焼き付けを行います。
焼き付け後が右の写真となります、少し赤漆も焼けて黒くなっていますがこの上に塗り重ねていきますので大丈夫です。
赤口朱とは、赤呂色漆(茶色い透けた漆、赤色ではありません)に赤口朱という顔料を混ぜたものです。
風切りプレートの文字を書き直しします。
一旦プレート塗装はすべて削り取り鉄面に戻します。そこから修復スタートとなります。
下地はタンクと同じで黒中漆を刷毛塗りします。乾燥はレンジでチンと焼き付けを行います。
黒塗りの仕上がり写真は取り忘れちゃいました。
文字はベンガラ漆でハンドで書いていきます。(文字の型は転写します)
文字の漆が乾かないうちに今回は代用金粉を蒔いていきます。
皆さんはここが興味がおありかと思いますのでこの工程を重点に写真を載せます。
漆で文字もきれいに甦りました。完成
・マフラーは錆錆修復不可か?
このままメッキ屋に依頼するのが妥当である。メッキ屋に出したい部品はほとんどでそこまでお金をかけて修復できない。
・修復チャレンジ
漆でコーティングを試みる。
マフラーの温度は出口付近で300℃ぐらい
この消音機付近で100℃ぐらい。
漆はこの温度に耐えられるか?
ダメもとで塗ってみる。
色は黒ぐらいしか選べない、銀を蒔く手も
あるが高額になってしまう。
ダメもとなので黒艶ありでチャレンジして
みることにする。
1)下地を生漆で拭き漆写真右が塗ったところ。
2)黒漆(艶あり)を刷毛塗りしたところ。
乾燥後が楽しみです。
3)乾燥結果所どころにちじみが発生、また埃も多く2回目の塗直しとなりました。
残念です。2回目塗りの準備として全面的に#1000番で水研ぎを行います。
面積が大きくこれがまた大変なので嫌な作業です。
4)2回目塗り後
割と綺麗に仕上がっていたのでこれで塗り止めとします。(本当はもう一度ぬることにより表面がが滑らかとなりより美しい仕上がりとなります)
次回は本体に装着した写真をアップする予定ですお楽しみに。
メグロファンには、黒のマフラー?ダメ出しのブーイングがきそうです。
再度BOXも塗装の剝がれが目立つため漆により再生します。
このパーツが一番苦戦しましたが何とか漆が接着し綺麗に仕上がりました。
ここまではパーツを外し漆体験施設で埃の少ない環境で塗りができムロで乾燥できました。
しかしもう外すことができない部分がほとんで、環境の悪いガレージで塗って見たいと思ってます。
温度と湿度が保てないので乾燥が難し状況となります。チャレンジ!
早速塗ってみました、使った漆は光琳です。
一見綺麗に見えますが埃と垂れが発生しています。
もう一度塗り直しかな…。
4月に入り平年気温より高めな日が続いています。これは塗り直しチャンス到来、垂れ、下地一般塗料との相性が悪く溶けて知人でしまった。
もう一度すべてハギ取り塗り直しを行う意外と埃も少なく上手く塗れたかな。
梅雨に入り、漆を塗るチャンスにもかかわらず作業ができない状況が続いています。
(言い訳は半農が忙しい・・・。)
今日は少し作業を進めるためフロントフェンダーを外しました。この湿気と温度が絶好のチャンスなので大物を塗りたいためです。取りあえず塗装剥離作業に着手しました。
今後の予定
①既塗装剥離
②生漆による拭漆
③板金後、錆腐食凸凹箇所をサビで補修
④黒漆刷毛塗り
ここで失敗、板金箇所の凸凹が埋まりきれず凹み箇所へ漆がたまり乾燥時チジミが発生した。もう一度この工程のやり直しとなります。
次回塗りまでに表面の研ぎと凸凹の補修をやっていきます。
全面研ぎ直しを水研ぎで行った状態です。
もう一度全面塗り直しを行っていきます。
今回は、薄目に塗っていきます。
2回目塗り後
薄目に塗った効果もあり綺麗な仕上がりとなりました。
もう一度塗る覚悟でしたがこれで完成とします。
装着後の写真もアップしておきます。
後は後部フェンダーが残るのですが、取り外しが難しいので現状ままとするか検討中です。
ホーンは、塗らなくていいかなと思ってましたが、他が綺麗になっていくにつれ目立って汚く見えてきました。
塗るのだったら分解が必要で本日バラしてみました。
ホーン内部は錆だらけでとりあえず錆取りを行い下地調整から行っていくことにします。
綺麗に塗装を剥離し、拭き漆を行う。
今回は焼き付けを行ないます。
前にも行いましたが、温度160度60分でチンします。
写真は、焼き付け前後です。こんがり焼きあがりました。
これで下地処理が終わりましたので表面の凸凹をサビ漆で埋めていきます。
乾燥後塗り工程に入ります、艶あり黒漆(光琳)を刷毛塗りします。写真が塗り後となりますが大変美しく塗れていますが仕上げ塗りではありません次回研いで仕上げ塗りを行っていきます。
器の製作から
【材料の選択】
今回はケヤキの乾燥材を使用します。
【加工】
湯呑みの形にバンドソーで粗方角を切り落とします。
①ろくろに材料を装着、外面から加工していきます。
②外面加工が終われば、内面を削る。
四ツ爪チャックに装着するための溝加工をおこない。チャックに装着し内面の削り出しを行います。
③加工が完了すれば内面外面の研磨を行えば完了です。
簡単に書きましたが薄く仕上げるのに苦戦しています。
今日はここまで、次回は木地に漆を塗っていきます。
それではいよいよ木地に漆を塗っていきます。
木地固めは、塗りを行う一番最初の作業となります。生漆を木地全体に浸み込ませ丁寧にふき取っていきます。
これを行うことにより木地が固くなり狂いが抑えられます。
木地固め完了
次回は目止めを行っていきます。
ケヤキは導管がはっきりしていて空洞が表面にあるためこの空洞を埋めるためにサビを導管に摺り込んでいきます。サビを塗った後は拭きとっていきます。導管の空洞にサビが残って埋まっていきます。右側の写真が拭きっとった後です。この状態でサビが乾くのまって次の工程に行きます。次回は拭き漆です。
一部ロクロキズがあるため、#240水研ぎをおこなっていきます。
右写真が水研ぎ完了後となります。
この状態で乾燥させます。
次回拭き漆をおこない木地固めを行います。
木地固め乾燥後#400番で再度水研ぎを行い表面の木地を整えて行きます。
水研ぎは#600番まで繰り返します。
#600番まで水研ぎが完了しました。次回からはひたすら拭き漆を重ねて行きます。
途中の拭き漆後の写真は省略していますが、今回で12回目となり大分艶が上がってきました。もう少し拭き漆を続けて行きます。
12回まできましたのでそろそろ終息に向かいます。
本日は、呂色仕上げを行っていきます。
・初めに超微粒コンパウンドで磨きあげます。
写真はコンパウンドと磨き上げた湯呑みです。12回目の拭き漆後とコンパウンドで磨いた後の写真を比較頂くとよくわかると思います。
・次にコンパウンドを中性洗剤で綺麗に洗い流します。
・次に拭き漆を行います、これまでは中国産漆を拭いてきましたが最終工程は日本産:丹波1号にて拭き漆をおこないます。
かなり艶が上がったのが最後の写真で感じてもらえると思います。
かんな台が割れてしまったので交換するつもりで、三木刃物祭りで購入した台を長らく置いていましたが、今になって思い立ち交換にチャレンジしています。簡単にできるものだと思ってましたがなかなか苦戦しました。
割れたかんな台
購入したかんな台
全く刃は入らない!
刃を挿入する両端を削る
刃の幅より1mmぐらい(両端0.5mm)隙間ができるぐらいを目標にヤスリで削っていく。
砲台の刃口仕上げ
刃口の斜め部分を削っていく。
これも地道な作業が続く。
やっと半分まできました。
面一まで削れました。
刃を装着したところ。
まだ刃は出ていません、もう少し削った方がいいかな。
次にかんな台の修正です、新品の台なのでフラットな面になっています。
荒仕上げかんなに台修正を行っていきます。
私は、台直しかんなは持っていませんので大きいノミを立てて少しずつ削っていきます。
均一を定規で確認しながら少しずつ削っていきます。
修正後
修正後
【山内耕祐さん】
府内唯一の漆産地の福知山市夜久野町で、実に26年ぶりに漆掻き職人が誕生した。
同町千原の山内耕祐さん(29)は昨年12月中旬、漆の植栽地で若木を眺めた。生育して漆をかく「鎌入れ」ができるのは10年後。
夜久野の未来に思いををはせた。
京都市立銅駝美術工芸高から富山大のデザイン工芸コースに進んだ。
漆芸一筋の生活。だが、大学3年の就職活動を前に、将来を思い描けなくなった。
「漆にこだわってきた理由はなんだったのだろう」。自問自答する日々の中で、丹波漆について知った。
一滴一滴、大切に漆を採る漆掻き職人さん。これまで目を向けてこなかった採取の現場にくぎ付けになった。
漆掻きのシーズンオフには、自宅2階の工房で漆器作りも手掛ける。
【高島麻奈美さん】
「漆を塗った後にきれいな艶を出すためには、下地から丁寧に作ることが大切」。
木と漆の館で展示販売する漆器作りも手掛ける。
「漆を器に塗っても、乾かしたら色合いが変わる。思った通りに完成しないのが漆芸の奥深さ」と笑顔を浮かべる。
富山県上市町の実家で使っていた漆のわんの艶やかな光沢に引かれた。
京都市立芸術大や同市産業技術研究所で漆器製作を学び、15年に移り住んだ。
年間で取れる丹波漆の量は3~5キロと、今は少ない。高島さんが制作で使えるのは年5回ほどだが、のびがよく透明なため漆芸に向くと確信している。「まだまだ修行中。いつか丹波漆のオリジナル作品で個展を開きたい」。器に向かうまなざしは真剣だ。
(2017年1月9日京都新聞記事引用)